今回は、よいはなのつくり手 取材レポをお届けいたします♪
シクラメンの生産者でもあり、育種家でもある、大栄花園の高橋康弘さんをご紹介です。
今回の取材レポ ポイント3つ
●高品質な理由 葉組み・底面給水
●育種家 高橋康弘さん
●シクラメンの新たな楽しみ方
冬はシクラメン、春はアジサイ。年間を通して楽しめる観葉植物など多くの鉢物を栽培し出荷されています。
取材当日、市場から取材スタッフは車で1時間ほどの千葉県成田市の成田空港近くにある大栄花園さんに到着。
急に冷え込んだ秋の小雨の降る日でした。
農場につくとスタッフ方々が休憩を終え、午後の作業に入るところ。
「肌寒いですね。」と言いながら、
はじめてお会いするレジェンド高橋さんに緊張しつつご挨拶し、取材をはじめました。
強面の高橋さん。
ドキドキしながらお話を伺い始めたら…
第一印象と違って、「あれ?…やさしい。」
そして、シクラメンへの愛にあふれていて、シクラメンを愛でる姿が可愛い。
カメラが回ると緊張した面持ちになりながらも、話始めたら情熱が止まらない!
これはっ
いっぱい、いいお話伺える!!
とテンション上がりまくりの取材スタートになりました!!
大栄花園さんのシクラメンは、生産者で育種家の高橋さんが作り出す品種で、
他にはない珍しく美しい花姿の子ばかりです。
凛とした花姿や見たことのない花型は、どうやって生まれるのだろう?
と興味津々で高橋さんに伺ってみると、
たくさんのこだわりや思いがそこにはありました。
まず花姿。
葉の一枚一枚がいい顔して整列しています。
葉全体をてのひらでで包み触れると葉がキュッと締まっていて力強さがあるのです。
茎もすっと立ち上り凛々しくて。
本当に美人なのですよ。
ずぼらな私からすると、
自由にしなやかに咲く花姿があってもいいじゃない♪なんて思っていたのですが、
とんでもなく格の違う方々です。
そんな格の違う美人たちはどのように育てられているのかを実際に見てみたい!!
という、マニア心から今回の取材はスタートしていましたので、
早速、高橋さんに質問をしてみました。
「出荷までに何回くらい葉組みするんですか?」
シクラメン栽培では、葉組みという作業がとても欠かせない作業があります。
一応の基礎知識のある私は驚愕。
「6回です」
「え?6回??」
「この気の遠くなるような作業を6回????????」
みなさま、シクラメンの葉組みをご存じですか?
シクラメンは多年草の球根植物で、株の真ん中から新しい葉と花芽が出てきます。
育っていく過程で出る花や傷んだ葉は摘み取り、病気になったり株が衰えるので種が付いたりしないようにします。
シクラメンの特徴として、葉の数と同じ数だけ花が咲きます。
花芽をたくさん咲かせるためには、葉の枚数が多くなるように「葉組み」という作業を行い、球根の中心にしっかり光をあてることで葉芽・花芽が多く出るようにしていくのです。
一株ずつ、葉の向きを手作業で一枚一枚揃え、下にさげるようにし、株の真ん中にたくさん均等に光が当たるようにします。球根の中心が葉で隠れないように3本の支柱を株にかけて、常に中心部にしっかりと光をあてることでより、葉が効率よく光合成を行い多くの葉が茂る株につくり上げていきます。
一般的なシクラメン栽培では、この葉組み作業は通常2~3回程度です。
しかし、大栄花園さんでは、なんと!6回。
通常の2~3倍の作業をするということは、その分人手も必要で、時間もかかるわけです。
重なった葉を整理し、株の形を整え、葉が多くなり立派で力強い株がつくられていきます。丁寧に丁寧に育てることによって、お客様のお手元でも長期間咲き続け、ご満足いただける商品になるのです。
シクラメン栽培の要である葉組み作業には、高級生花店からご指名の葉組み職人さんいるほど繊細で大変な作業だったりもします。
さらに、シクラメンを育てるベンチ(台)には、シルバーシートと呼ばれるアルミホイルのようなシートを株の下に敷き、太陽光を下からもあてることで下を向いた葉にも日光があたり、よく締まった株になるように工夫されていました。
高品質のもう一つの秘密は、底面給水。
シクラメンは球根植物なので、水やりで球根に水がかかるとカビが生えたり病気になりやすくなったりします。そういそうリスクを回避するために、生産の段階から鉢の底に水を貯めて植物に水を吸わせる底面給水になっています。
シクラメンをお客様のお手元で長く楽しんでもらうことを考え、お客様の手に渡ってからの管理のしやすさを重視し、簡単な手入れでよい状態が保てるように鉢の形状にも気を使って、オリジナルの底面給水鉢の商品もあります。
本当に細やかな愛情でつくられていくシクラメンなのですね。
育種家 高橋康弘さん
大栄花園さんはオリジナル品種がたくさんあります。
珍しい紫、おしゃれな花色にフリル、美しい銀葉、繊細な花弁、豊かな香り…
上げればきりがないほどの魅力的なシクラメンに魅了されます。
すべて高橋さんが生み出した品種で、
花のオリンピックであるフロリア―ドでの金賞や農林水産大臣賞など、数々の賞を総なめにしてきた経歴の持ち主です。
新しい品種を生み出す育種家としての原動力やこだわりを伺いました。
就農したばかりのころ、お父様のつくったパピオンという品種を他社の手に渡してしまうという過去の苦い経験を糧に、現在の育種に愛と情熱を持って栽培されているとお話をしてくださる高橋さん。
そんなご自身の失敗も笑顔で話しながら熱い思いを伝えてくれます。
大栄花園さんの青色の代表的な品種「江戸ノ青」をはじめとして、たくさんの品種を生み出してきました。現在では主流となってきている青色のシクラメンを育種するのにも一苦労したとおっしゃっていました。
≪江戸ノ青≫
「一番大変なことは何ですか?」
と伺うと、やはり新しい色を作ることが1番苦労するそう。
生み出したい親となる株に受粉させて春に種を取り、12月に種まき。その種を撒いてから花が出るまでに1年かかります。品種として作出するには10年はかかるため、新品種を生み出すには多くの時間を要し、地道にシクラメンと向き合うことによって生み出されていくのですね。
また、新しい品種の作出には大量に播種した中から良いものを選別して品種にしていくのですが、単純に色が珍しかったり綺麗なことを重視して選別されていくのだと思っていました。
しかし、高橋さんの答えは違っていました!
新品種を選ぶポイントは、
① 生産者の方が安定して作れるもの
② お客様が長く楽しめるもの
花が綺麗なだけではダメで、生産する方々のため、受け取って楽しんでいただく方々への想いがたっぷり詰まっていて、どちらにも心を向けて考えていらっしゃる思いやりある育種家としての姿に、
わたくし一気にベタ惚れしてしまいまして!!
取材が3時間以上にもなる暴挙に…w
高橋さん、お忙しいのに本当にごめんなさい。
でも、とっても楽しい時間を過ごさせていただきました。
快く取材を受けてくださり、ありがとうございました。
「シクラメンはツンデレなんだよ。昨日は状態良かったのに今日突然枯れてしまう、なんてことはよくあってさ。種を300コ植えても、商品にできるのは150コ程度だったり…。その反面に観葉植物は素直で、100植えたら100商品になる。だから最近観葉植物が可愛く感じて。」
なんて言っていたのに、
舌も乾かぬうちに「シクラメンはうなじがいいんだよな~。うなじにこだわってつくってるのよ!」と顔をゆがめてシクラメンの茎と葉の境目を『うなじ』と呼んでいるお話をされる高橋さん。
結局、シクラメンが大好きなことがわかった一日でした(笑)
高橋さんからシクラメンのオススメの楽しみ方をご紹介。
じつはシクラメン、切り花としても楽しめる花なんです!
香りのするものや、上を向いて咲くもの、フリフリしたものがあり、表情豊かですね。また、透明感のある花弁は、この時期で回るダイヤモンドリリーやダリアなどとも相性が良さそうですね。
長持ちするお花なのも、自宅に飾る切り花としてはポイント高め。
鉢物として楽しむも良し!切り花として楽しむもよし!
幅広く楽しめるシクラメンいろいろなのですよ!
ぜひ、みなさまのご自宅でも花摘みしながら楽しんでみてくださいね。
そして今回は!!!なんと!!!
まだ市場では出回りの少ない品種で取材に行った10月にはまだ名前が決まっていなかったベージュピンクのシクラメン「アンシャンテ」も入荷します!
可愛いすぎてその場でスタッフが、ごり押ししてみなさまのために今回特別に仕入れました♪
ぜひ大栄花園さんのシクラメンをご自宅やお世話になったあの方にプレゼントするのはいかがでしょうか。
取材の内容はこちらのインタビュー動画から。プレゼントした方と一緒に見ながら、高橋さんの優しいお人柄やたゆまぬ努力を感じていただけたら嬉しいです!
千葉県成田市の農場の近くには、温室とカフェがあり、珍しい観葉植物やシクラメン、こだわりの雑貨が購入できるお店もございます。植物好きもカップルもで楽しめるスポットとなっていますので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
店名 Botanical&CAFE Breed
住所 287-0222 千葉県成田市前林987-1
電話番号 0476-73-6030
営業時間 10:00~18:00
定休日 火曜日
取材チーム:ふたつぎ